2013-02 / iPhoneの使用契約書 18項目に関する主観を綴ってみる
ものすごく面白い話題だったので釣られてみる。一個ずつ見てみることにしよう。
1.これは私の携帯です。私が払いました。あなたに貸しているものです。私ってやさしいでしょ?
日本だと、日頃から「『ありがとう』をちゃんと言いなさい」という教育をしている家庭が多いと思うので、ちょっとこれは鬱陶しい。 そういうのは子供がその行いを通じて自然に感じることであって、一々言うことではない。
2.パスワードはかならず私に報告すること。
これは少しややこしいので分解する。iPhoneのパスワードは3つ+1つあるからだ。
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画面をロックするパスワード
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AppleIDのパスワード(アプリをAppStoreでインストールする時に入力するパスワード。13歳以上の制限有り。)
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機能制限を行うパスコード(SafariやAppStoreを開くことを制限したり、アプリの年齢制限をかける4桁の数字のこと。)
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ドコモ,au,Softbankの支払い確認用パスワード(iモード等でも入力を要求される 4桁の数字 のこと。モバゲーやGREEの高額課金の導線になるのは大体このパスワードなので、初期設定のままだったり、金銭感覚の無い子供に任せると結構危険なのはご存知の方も多いだろう。)
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は、親御さんが把握する必要はない。子供に設定させて、子供自身で管理させる。画面ロックのためにわざわざ親御さん呼ぶのは手間だろうし、そこまで過度に干渉する必要もない。
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もアプリをインストールする際、毎回親御さんが確認するため手間になるので、子供が13歳以上ならば自分で作らせる方が良い。有料アプリの購入にはクレジットカードが必要なので、Vプリカ ((追記:Vプリカの購入は18歳以上から可能であったことに後から気づいたので訂正。保護者が購入し、子供に残高を与えるか、もしくはiTunesギフトカードなどを利用するのが適切だろう。) などの購入手段を教えておき、自分の財布でやりくりさせるべきだろう。どんなアプリや音楽を買っているか、なんてのも干渉しなくて良い。Appleが予めレート制限や厳しい審査をしてくれているので、安心して使わせてあげて欲しい。 だが3.と4.は、金銭的・精神的な実害が懸念されるので、親御さんが管理し、最初は子供には教えない方が良い。 小学生以下なら、機能制限をガッチガチにつけて、i-フィルター のような別ブラウザを導入しておく。年齢とともに制限を徐々に緩和させていき、思春期を過ぎて、金銭感覚がしっかり身についた、もしくは支払い能力を持つようになったと思われるならば、支払い確認用パスワードを解禁する。独り立ちして、18歳以上で別世帯になった時、機能制限含め全てのパスワードを解禁する、という感じで、ちゃんと段階を見極めてあげるべきだと思う。
- これは「電話」です、鳴ったら必ず出ること。礼儀良く「こんにちは」と言いなさい。発信者が「ママ」か「パパ」だったら必ず出ること。絶対に。
そうだね。非通知の電話には少し気をつけてほしいけど。
- 学校がある日は7:30pmに携帯を私に返却します。週末は9:00pmに返却します。携帯は次の朝の7:30amまで電源オフになります。友達の親が直接出る固定電話に電話出来ないような相手ならその人には電話もSMSもしないこと。自分の直感を信じて、他の家族も尊重しなさい。
- iPhoneはあなたと一緒に学校には行けません。SMSをする子とは直接お話しなさい。人生のスキルです。注:半日登校、修学旅行や学校外活動は各自検討します。
日本の中学生に絞って考えるならば、恐らく部活が終わって下校するのは19時前後だろう。なのでこの2つを守ろうとすると、帰ってきて数分触って、すぐ親に返却することになる。これでは、一体何のためにiPhoneを買ったのか分からない。 日本のガラケーの時代では「ケータイは学業に必要ない」ということから多くの学校で持込が禁止されていたし、それは良い判断だったと思うが、今後の時代ではそれは通用しないし、スマホが教育的な役割を果たす時代も遠からず来る(現に私はEvernoteがないと、勉強も娯楽も私事も、あらゆる場面で支障を来たすようになってしまった。)。なるべく時勢と子供のモラル・利用スタイルなどを鑑みながら、利用の範囲を適切に決めていって欲しい。
6.万が一トイレや床に落としたり、無くしたり、破損させた場合はの修理費用は自己負担です。家の芝生を刈ったり、ベビーシッターをしたり、お年玉でカバーしてください。こういうことは起こります、準備していてください。
いいね。
7.このテクノロジーを使って嘘をついたり、人を馬鹿にしたりしないこと。人を傷つけるような会話に参加しないこと。人のためになることを第一に考え、喧嘩に参加しないこと。
嘘も方便とは言うけど、ネットでつく嘘は大抵ダメな方向に行くからやらない方がいいよね。なのでそこは同意。日本人は悪口とか世間話大好きだから、こういう風に言うのもいいことだと思う。ただ、その人に伝わるように堂々と、相手を尊重した上できちんと議論するなら、別にやって良いと思うよ(Linus がポリシー貫くためにF◎CK連呼するのと同じこと。その真意が分かった上での罵詈雑言ならそれは理解されて然るべき。)。問題は、スマイリーキクチさんの件のように、場の空気に流されて酷いことを平気で言えるようになってしまうこと。(学校裏サイトにもまさにこの問題があるが、それはまた別の話。)
8.人に面と向かって言えないようなことをこの携帯を使ってSMSやメールでしないこと。
ここはよく分からない。犯罪行為のことを指しているのだろうか?7.でやった話とも少し関連していそうだね。違法DLに関する法 とか、私達ですら線引が難しい行為もある以上、何らかの事前教育はしてあげましょうね。
9.友達の親の前で言えないようなことをSMSやメールでしないこと。自己規制してください。
8と何が違うのだろう…「友達を傷つけるな!」という意味で取ればいいのかな?
- ポルノ禁止。私とシェアできるような情報をウェブで検索してください。質問などがあれば誰かに聞きなさい。なるべく私かお父さんに聞いてね。
これには消極的に反対。思春期の健全な男の子からエロを取り上げるってどんだけ容赦ないんだよ。どうか勘弁してやってください。ここまでのルールだけでもだいぶ厳しいので、これを掻い潜って来るような骨のある男子は見逃してあげようよ…。
- 公共の場では消すなり、サイレントモードにすること。特にレストラン、映画館や他の人間と話す時はそうしてください。あなたは失礼なことをしない子です、iPhoneがそれを変えてはいけません。
そうだね。
12.他の人にあなたの大事な所の写真を送ったり、貰ったりしては行けません。笑わないで。あなたの高知能でもそういうことがしたくなる時期がやってきます。とてもリスキーなことだし、あなたの青春時代・大学時代・社会人時代を壊してしまう可能性だってあるのよ。よくない考えです。インターネットはあなたより巨大で強いのよ。これほどの規模のものを消すのは難しいし、風評を消すのも尚更難しい。
2chのいわゆる「ちんこうp」とか「おっぱいうp」とか、Googleにも引っかからない超アングラなBBSとか、よくそういうノリあるよね(この感覚がわからない人は、修学旅行とかのお風呂で友達同士でちんこの丈比べとか、おっぱいの大きさ比べたり(いやこっちは想像だけど)といった、あの超くだらない感覚を思い出して貰えたら良いと思う。いや僕もそんなのやったことないんだけども。)。それに加え、児童ポルノ の問題も絡んでいる。これに関しては、Webが今のような局所的クローズドなものではなく、オープンな価値観になっていくことで、自然とそういう場では無くなっていくだろうと感じている。Facebookでギリギリの下ネタをやろうとも、自分の性器を堂々とアップする奴なんかいないってことだ。Webに対するセーフティな価値観の芽生えと共に、自然消滅させてしまいたい項目でもある。
13.写真やビデオを膨大に撮らないこと。すべてを収録する必要はありません。人生経験を肌身で体験してください。すべてはあなたの記憶に収録されます。
14.ときどき家に携帯を置いて出かけてください。そしてその選択に自信を持ってください。携帯は生きものじゃないし、あなたの一部でもありません。携帯なしで生活することを覚えてください。流行に流されない、FOMO(自分だけが取り残されるていると思ってしまう不安感)を気にしない器の男になってください。
15.新しい音楽、クラシック音楽、あるいは全員が聞いている音楽とは違う音楽をダウンロードしてください。あなたの世代は史上もっとも音楽にアクセスできる世代なのよ。この特別な時代を活用してください。あなたの視野を広げてください。
16.ときどきワードゲームやパズルや知能ゲームで遊んでください。
17.上を向いて歩いてください。あなたの周りの世界を良く見てください。窓から外を除いてください。鳥の鳴き声を聞いてください。知らない人と会話をもってみてください。グーグル検索なしで考えてみてください
この部分に関しては「ルール」でなく「ポリシー」に該当するので、一々言うのはちょっとダサい。 子供が学んでいく、特に使う方針にここまで詳細に口を突っ込むのは野暮じゃないかな。精々17.だけ書いておけばいい程度。
18.あなたは失敗する。そのときはこの携帯をあなたから奪います。その失敗について私と話し合います。また一からスタートします。あなたと私はいつも何かを学んでいる。私はあなたのチームメイトです。一緒に答えを出して行きましょう。
奪ってはならない。 「ナイフで怪我したから、今後はナイフを触らせない!」というのと似た、非常におかしな話。何故そんなことをしてしまったのか、反省し、謝罪させ、失敗の原因を学ばせることの方がよっぽど重要だと思う。 非常に微妙なラインの話だが、インターネットとiPhoneのせいで物理的に命が奪われる、なんてことはまずない(はず)。いざとなれば自己防衛がいくらでも可能である「安全なナイフ」こそ、これからのスマートフォンやインターネットの真髄だ。人生観の問題もあるので深く触れても水掛け論にしかならないが、恐らく子供は取り上げられることを納得しないだろう。
総括として、iPhoneを渡す時に何らかのルールを決めておく、というのは超同意なんだけど、親心としての忠言、時に潔癖すぎると思われるものはあるな、と感じた。モンスターとまでは言わないにしても、いわゆる「親バカ」の類なんだと思う。
もう一つ。今の世代間におけるデジタル・デバイドが、将来的にスマホやタブレットにおいて、同様の格差となる可能性は否定できない。平たく言えば、「僕らより、僕らの年下世代(現在の10歳未満の子)の方が、よりスマホやタブレット、ネットに精通していくかもしれない」ということだ。そうなれば保護者のアドバイスなど不要もいいところ。ともすれば老害だ。そうやって子離れするタイミングを見計らってあげるのも、保護者や、これから保護者となっていく人の、立派な役目の一つだと思う。