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人生災害のリスク評価と対策

人として生きていると、様々な災害に襲われ、自身の人生を狂わされるリスクがある。住む場所や方法によって、ある程度それらのリスクを減らすことはできるものの、一生それらと付き合っていく必要があることには変わりない。また、人は必ず死ぬわけなので、死亡に直結する病気や寿命といったものも一つのリスクとして考えられる。ここでは、これらのような人生で発生する可能性のあるイベントを「人生災害」と呼び、それぞれどのように考え、対策を打つかについてまとめる。

基本的な考え方 - リスクマネジメント

いわゆる「リスクマネジメント」の考えに基づいた考えを取る。

長いので大変乱暴に三行でまとめると、

  • リスク評価:発生するリスクを「発生する確率」「発生した時の影響度」で評価する
  • リスク対応:リスクに対してどのように対応するか作戦を決める(リスク源を回避するか、低減させるか、共有するか、それとも保有するか)
  • レビュー:定期的にうまくいったか作戦結果を振り返る

という3ステップで構成される。この考えをベースに、

  • 発生する災害を「発生する確率」「発生した時の影響度」で評価する
  • 災害に対してどのように対応するか作戦を決める(災害の源を回避するか、災害の発生確率を低減させるか、保険などでリスクを共有するか、それとも災害が起きないと鷹を括って保有するか)
  • 定期的にうまくいったか作戦結果を振り返る

というように設定し、考えをまとめていく。

災害評価

日本は特に災害大国であり、様々な災害が起こりうるが、主に考えられる人生災害をまとめると以下のようになる。

リスク評価表

ジャンルリスク評価基本対応
ケガ確率: 小
影響: 大
回避
損害賠償確率: 小
影響: 中
回避
病気(重)確率: 中
影響: 甚大
回避
病気(軽)確率: 大
影響: 小
低減
地震確率: 小
影響: 大
低減
水害確率: 小
影響: 大
低減
暴落確率: 中
影響: 中
低減
火災確率: 超極小
影響: 大
移転
落雷確率: 超極小
影響: 中
移転
降灰確率: 極小
影響: 甚大
移転
停電確率: 中
影響: 小
保有
断水確率: 中
影響: 小
保有
爆撃確率: 極小
影響: 甚大
保有
戦争確率: 極小
影響: 甚大
保有
  • 凡例
    • 確率: 一般的な人生の中でどの程度遭遇するかによって判定
      • 大: 10年に1度以上のペースで多くの人が経験する形で発生する
      • 中: 数十年に1度のペースで多くの人が経験する形で発生する
      • 小: 数十年に1度のペースで限られた人が経験する形で発生する
      • 極小: 百年以上に1度のペースで多くの人が経験する形で発生する
      • 超極小: 宝くじに当たるレベルの僅かに限られた人が経験する形で発生する
    • 影響: 発生した際に人生にどの程度の影響を与えるかで判定
      • 甚大: 人生の基盤がほとんど破壊され、再建不可(命を失うことがある)
      • 大: 人生の基盤が大きく破壊され、再建に年単位の時間や千万円単位の資産が必要
      • 中: 人生の基盤が一部破壊され、再建に月単位の時間や百万円単位の資産が必要
      • 小: 人生の基盤に一部影響を与え、再建に週単位の時間や十万円単位の資産が必要

ケガ

  • 想定ケース: 自動車事故に遭い、全治1年の怪我
  • 発生確率想定: 小(数十年に1度のペースで限られた人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 大(人生の基盤が大きく破壊され、再建に年単位の時間や千万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク回避
    • 公共交通機関を使う: 一般的に、事故に遭遇する確率が高い乗り物は自動車・バイク・自転車など、多くが自身で運転する乗り物であり、バス・電車・新幹線・飛行機などの公共交通機関は、百年乗り続けても事故に遭う確率は極僅かである。そのためこだわりがなければ、自身で乗り物を運転するのはやめておいた方が良い。

損害賠償

  • 想定ケース: 自動車事故を起こし、負債数千万
  • 発生確率想定: 小(数十年に1度のペースで限られた人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 中(人生の基盤が一部破壊され、再建に月単位の時間や百万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク回避
    • 公共交通機関を使う: 一般的に、事故に遭遇する確率が高い乗り物は自動車・バイク・自転車など、多くが自身で運転する乗り物であり、その際の自身の責任を考えるとハイリスクであると言わざるを得ない。可能な限り公共交通機関を使うべきである。

病気(軽)

  • 想定ケース: 持病により、1週間の入院を伴う手術が必要になった
  • 発生確率想定: 中(数十年に1度のペースで多くの人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 小(人生の基盤に一部影響を与え、再建に週単位の時間や十万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク低減
    • 気になることがあったらこまめに病院に行く: 小さな違和感を放置することで問題が複雑化するため、小さな問題を放置せずに早め早めに解決していくことが良い。
    • 軽い症状のうちに予防する: 予防接種を打つ、歯を毎日磨く、筋トレをするなど、普段からの予防によって将来の問題を早めに解決できる。

病気(重)

  • 想定ケース: くも膜下出血で就業困難となり、退職を余儀なくされた
  • 発生確率想定: 小(数十年に1度のペースで限られた人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 大〜甚大(人生の基盤がほとんど破壊され、再建不可(命を失うことがある))
  • 基本対応: リスク回避
    • 食事・運動・ストレス防止を心がける: 現代の死因の多くが生活習慣に起因する(生活習慣病)ことがわかっている。これらは普段の生活習慣を少し正すだけで防止できるものであり、そのために習慣を改善することは大きな意義がある。
    • 遺伝性の体質について知っておく: 家系的に受け継いだ体質は変えられないが有効なヒントになる。父母から体質の話を聞き、将来自分にどのようなリスクがあるのかは知っておくことで、予防する習慣をつけることに効果がある。

地震

  • 想定ケース: 大地震で自宅が倒壊、仮住まいになる
  • 発生確率想定: 小(数十年に1度のペースで限られた人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 大(人生の基盤が大きく破壊され、再建に年単位の時間や千万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク低減
    • 地震の少ない場所を選ぶ: 大地震の起こる確率が高い場所は想定が出ており、より確率的に安全な場所を選ぶことは価値がある。また石川地震のように、半島の先など地震発生時に孤立する可能性が高い場所もリスクが高い。
    • 耐震性の高い住居を選ぶ: 住宅の耐震性は建築時期や建築時の認定で異なるので、より耐震性が高く、倒壊しづらい建物を選ぶことで自宅を失うリスクを抑えられる。
  • 応用対応: リスク共有
    • 賃貸住宅に住む: 賃貸ならば仮に倒壊しても家財を失うだけで済むため、別の賃貸に住み替えるだけで問題を回避できる。

水害

  • 想定ケース: 津波による水害で浸水、家財が全損する
  • 発生確率想定: 小(数十年に1度のペースで限られた人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 大(人生の基盤が大きく破壊され、再建に年単位の時間や千万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク低減
    • 水害の来ない場所に住む: 川の近く、ハザードマップ上の浸水域を避けることで、簡単にリスクを回避することができる

火災

  • 想定ケース: 隣家からの火災で自宅が全焼する
  • 発生確率想定: 小(数十年に1度のペースで限られた人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 大(人生の基盤が大きく破壊され、再建に年単位の時間や千万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク共有
    • 火災保険に入る: いつどこで発生するかは運要素が大きく、多くの人に起こるものでもないことから、火災保険で発生した時の損害を後からカバーするのが最も効果的。

落雷

  • 想定ケース: 家に雷が直撃し、家電が全て故障する
  • 発生確率想定: 超極小(宝くじに当たるレベルの僅かに限られた人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 中(人生の基盤が一部破壊され、再建に月単位の時間や百万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク共有
    • 火災保険に入る: いつどこで発生するかは運要素が大きく、多くの人に起こるものでもないことから、火災保険に付随する落雷保険を選び、発生した時の損害を後からカバーするのが最も効果的。

暴落

  • 想定ケース: 不況により株価暴落、資産が30%減になる
  • 発生確率想定: 中(数十年に1度のペースで多くの人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 中(人生の基盤が一部破壊され、再建に月単位の時間や百万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク低減
    • 複数の資産に分散する: 多くの資産で暴落は必ず発生するため、さまざまな資産形態に分割して持っておくのがリスク対応としては正しい。ただし時間が許容できる場合、一部の資産は数年で元の価格に戻って来れる力があるため、その場合は分散ではなく、時間に任せるというのが対応策になる。

停電

  • 想定ケース: 電線が切れ電気が来なくなり、電化設備が全て不能になる
  • 発生確率想定: 中(数十年に1度のペースで多くの人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 小(人生の基盤に一部影響を与え、再建に週単位の時間や十万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク保有
    • 停電を前提として対策する: 避けられないため、発生した時の備えを考えておく必要がある。

断水

  • 想定ケース: 地震に伴う断水により、上下水道が長期間使えなくなる
  • 発生確率想定: 中(数十年に1度のペースで多くの人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 小(人生の基盤に一部影響を与え、再建に週単位の時間や十万円単位の資産が必要)
  • 基本対応: リスク保有
    • 断水を前提として対策する: 避けられないため、発生した時の備えを考えておく必要がある。

降灰

  • 想定ケース: 富士山噴火により大規模な降灰が発生し、主要ライフラインが年単位の停止に追い込まれた
  • 発生確率想定: 極小(百年以上に1度のペースで多くの人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 甚大(人生の基盤がほとんど破壊され、再建不可(命を失うことがある))
  • 基本対応: リスク保有
    • 降灰を前提として対策する: 避けられないため、発生した時の備えを考えておく必要がある。

爆撃

  • 想定ケース: 他国勢力からの攻撃により、自宅がミサイルで倒壊した
  • 発生確率想定: 極小(百年以上に1度のペースで多くの人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 甚大(人生の基盤がほとんど破壊され、再建不可(命を失うことがある))
  • 基本対応: リスク低減
    • 疎開: 予め戦争の影響が少ない街への引越を行っておく。例えば自衛隊のある街を避ける、戦略上の要衝となっている街(港町や空港のある街)への移住を避ける、などがある。
  • 応用対応: リスク保有
    • なし: 正直素人では予測できる範囲に限界がある。

戦争

  • 想定ケース: 他国勢力の侵攻により、自宅の倒壊、または徴兵を余儀なくされた
  • 発生確率想定: 極小(百年以上に1度のペースで多くの人が経験する形で発生する)
  • 影響度: 甚大(人生の基盤がほとんど破壊され、再建不可(命を失うことがある))
  • 基本対応: リスク低減
    • 疎開: 予め戦争の影響が少ない街への引越を行っておく。例えば自衛隊のある街を避ける、戦略上の要衝となっている街(港町や空港のある街)への移住を避ける、などがある。
  • 応用対応: リスク保有
    • 亡命: アメリカなどの基盤が安定した国に移住することが考えられる。しかし現実的には、受入れ先やビザなどで困難が多く、難しい側面が大きい。またその国のリスクを再評価する必要があり、移住に伴うコストも非常に高くつく。
    • なし: 徴兵は、余程の持病(呼吸器疾患、性病など)がない限りは避けようがない(徴兵制が復活するかどうか、といった論点はここでは考慮せず、復活した時のことだけを考える)。復活しないことを願うしかない。